国内版のタイトルは「ラストレコーディング」。
1980年9月、ビル・エヴァンスは51歳で肝硬変、出血性潰瘍で亡くなった。これは死の8日前のサンフランシスコ「キーストン・コーナー」でのライブである。マーク・ジョンソン(b)とジョー・ラバーバラ(ds)との共演によるトリオ。
相当体調も悪く、ピアノを弾くのもつらかったと思われるが、演奏をし続けることにこだわっていたようだ。この演奏の後、共演のマークとジョーが見るに見かねて強制入院させたが手の施しようがなかったという。
演奏内容は、そんな病気とは裏腹に力強く、荒々しい。次から次へとあふれ出すメロディーをギリギリで制御しているといった印象で「エヴァンスってこんなに強く叩く人だったっけ?」と驚くような、鬼気迫る演奏が続く。
叙情派あるいは耽美派と呼ばれ、一時代を作り上げた天才の最後の演奏は、激しく強烈な光を放っている。
アイラモルトの強い香りを飲み込みながら。
(1980録音)
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