不穏な空気感の漂うアルバムである。
エリック・ドルフィー(1928~1964 USA)はアルトサックス、バスクラリネット、フルートなどを使い分けるマルチプレーヤーだ。これは彼のリーダー2作目のアルバムで、ピアノレスだがロン・カーターがチェロで加わったカルテット編成となっている。
タイトル曲はOut There(彼方へ)、ドルフィーの持ち味のウネウネと続くソロにギコギコとチェロがからんで何とも不思議な落ち着かない浮遊感を感じてしまう。
加えて、このジャケットだ。隅に小さくProphet(預言者)と書いてあるが、ドルフィーがベースの舟に乗りサックスを吹きながら夕焼け空を飛んで行く。チェロのマストとシンバルの帆、そして船底にフルートがヒルのように貼り付いている。いったい何処に向かっているのだろう。早逝の預言だったのか?
それでも全曲聴き終わる頃には、美しいフルートも含めてすっかりドルフィー節の虜になってしまう、ヤバいアルバムである。
強い酒に酔いながら。
(1960録音)
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