スペインの盲目のピアニスト、イグナシ・テレザ(1962生)のピアノトリオ。
カタロニア民謡からスタンダードまで弾いており、エキゾチックでメロディアスな躍動感が心地良い。
出だしからノリの良い曲が続き、一気にイグナシの世界に引き込まれる。
彼は10歳の時に失明したということだが、飛び跳ねる曲が多く、ハンディは全く感じさせない。盲目のピアニストは、他にもテテ・モントリューやマーカス・ロバーツが有名だが、彼らの演奏を聴いても、やはり不自由とは思えない。もしかすると、ピアニストには視力は必要ないのかもしれない。彼らの心眼には、鍵盤がハッキリ見えているに違いない。
メロディーラインの美しい曲ばかりだし、やさしそうなオヤジ(イグナシ)が日向ぼっこをしているジャケットも印象的で、タイトルのセンチメンタル・グルーブ(感傷的な高揚)という表現がぴったりくる、素敵なアルバムだ。
黄昏時の陽だまりの中で。
(2005録音)
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