アルバムのライナーノーツの最初に「A triumvirate, not a trio(トリオではなく三頭政治だ)」とあるし、他のレビューでも「喧嘩ジャズ」などと評されている。
ジャズ界の大御所3人が顔を合わせ、和気藹々とスイングするかと思いきや、冒頭のMoney Jungleではお手並み拝見とばかりに、いきなりエリントン(p)が殴りかかると、ミンガス(b)が太棹で応戦し、ローチ(ds)が激しく煽り立てるといった様相の応酬が繰り広げられる、恐ろしいアルバムである。
このレコーディングの時、ローチとミンガスが喧嘩をしてミンガスが帰りかけたのを、エリントンが「まあまあ」ととりなしてレコーディングを始めたが、いきなりのピアノ強打だったので、さすがの強面のミンガスも「ビビッた~」と言ったとか・・。
デューク・エリントン(1899~1974 USA)は、ビッグバンドのマスターでいつもニコニコしているが、この時は少ない音数で「付いて来れるか?」と刺激的なフレーズをたたきつけてくる。このピアノとミンガスの強靭なベース、ローチの高速ドラミングの掛け合いは緊張感の連続で、確かに「三頭セッション」だ。
こんなアルバムが見つかるから、ジャズは楽しい。
大御所を拝聴するには、やっぱり良いスコッチで。
(1962録音)
注)triumvirateは、ローマ時代のカエサル、ポンペイウス、クラッススによる三頭政治など、3人の実力者による寡頭政治体制を表す言葉である。
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