フィニアス・ニューボーン(1931~1985 USA)は、オスカー・ピーターソンと並び称されるテクニシャンだが、精神を病んでしばしば活動を中断せざるを得なかった。そんな中で6年の活動休止後に発表したのが、このソロアルバム。
ピアノの調律が悪い上に、強盗に腕を折られてギプスを付けての演奏だったというエピソードが伝えられている。しかも、フィニアス自身が言った曲名が違っていたらしく、ジャケットの曲目記載が間違っている。何といい加減なレコーディングだろう!
しかし、この時のフィニアスは、高速で鬼気迫る演奏を聴かせてくれる。「ニカの夢」「真夜中の太陽は沈まず」などの名曲を中心に、骨折は大丈夫なのかと心配になってしまうほど強いタッチでガンガン押してくる、聴き応えのあるアルバムだ。
疲れていても、この音を浴びるとスカッとする。
昼のビールを楽しみながら。
(1974録音)
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